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概要・メンバーMember

通電焼結研究会とは

世界各国で各種先進新材料の研究開発へ応用されている通電焼結(放電プラズマ焼結)の最新技術と研究開発動向について議論する研究会

研究会の⽬標‧⽬的

放電プラズマ焼結(Spark Plasma Sintering: SPS)法などの通電焼結技術は、大電流のパルス通電と高圧力印加を併用し、難焼結性粉末の焼結、微細組織の制御、異種材料の接合に応用できるプロセスとして、国内外の研究者から注目されている。東北大学金属材料研究所は、平井敏雄教授や後藤孝教授らを中心に、本プロセスの発展に大きく寄与しており、関連論文数からも黎明期より中心的な役割を担ってきた。SPSは金研発祥と当該分野では世界的に広く認知されている。

通電焼結技術は、加圧下で粉末試料を急速加熱でき、緻密な焼結体を短時間で作製できる。本手法では、金属、セラミックス、有機物、およびこれらの複合材料に幅広く適用でき、その特異な焼結挙動や、他の手法では得られない機械的・熱的・電気的特性を示すことから、多分野にわたる材料開発プロセスとして研究されるとともに、装置開発を含めた実用化が達成された。一方で、未解明の特異な焼結現象の解明など学術面からさらなる基礎基盤を構築し、産業界からのニーズを高めることができれば、学術・実学の両面からの新しい研究展開が大いに期待できる。本研究会では、通電焼結現象、新材料開発、プロセス開発に関する討論の場を産学の研究者および技術者に提供し、先進材料・技術開発を含めた通電焼結技術の新しい展開を目指すものである。

本研究会は、通電焼結をキーワードとした大学および産業界の第一線で活躍する研究者が最新の研究成果を持ち寄り、先進材料・プロセス開発に向けた新しい通電焼結技術を構築していく場として期待される。通電焼結技術は、構造材料から機能性材料まで幅広い材料系に応用でき、潜在的な研究ニーズは極めて高い。本研究会は、大学関係者だけでなく、産業界の技術者が多く参加することで、材料の設計から評価・実用化までの全プロセスについて包括的かつ学際的な情報交換の場となることが期待される。特に、粉末冶金学に基づく学術的側面と、装置開発および生産などといった実学的側面を兼ね備えた討論の場が提供できる。

通電焼結技術における焼結メカニズムや得られる焼結体の構造や特性には不明な点も多く、焼結理論が成熟しているとは言い難い。最近、産業界での通電焼結技術の実用化が加速する中で、優れた機能性を発揮する材料開発による応用研究からのフィードバックを積極的に活用することで、基礎・応用の両面から通電焼結技術を洗練することができ、新しい応用分野へと展開できる。本研究会は、国内外の研究者が親睦を深めてより強固な協力関係を構築し、通電焼結をキーワードとした粉末冶金学・プロセス工学の発展に資するものである。今後、本研究会参画研究者らを母体として、SPS発祥の地である東北大金属材料研究所にて国際会議を開催する予定であり、国際的学術交流の大きな成果が期待できる。

通電焼結とは

通電焼結(放電プラズマ焼結)とは、高電流を流して粉末状の材料を高温で加熱することで、その粒子同士を結合させて固体を形成する加工技術である。このプロセスでは、通電によって粉末間の界面での加熱が起こって粒子同士が拡散し合って密着し、最終的に密度の高い均一な固体が得られる。主にセラミクスや金属材料の製造に利用されている。

通電焼結(放電プラズマ焼結)は通常の焼結法と比べて以下のような特徴がある。

高速焼結

通電による直接加熱のため、非常に短時間で高温に到達でき、焼結時間を大幅に短縮できる。これにより、効率的な製造が可能になる。

低温焼結

通常の焼結法よりも低い温度で高密度の焼結体が得られるため、材料の特性を劣化させることなく成形できる。熱に弱い材料にも適用しやすい。

高密度な製品の製造

粉末間で局所的に高温が発生し、粒子間の拡散を促進するため、気孔が少なく、高密度で均一な焼結体が得られる。

微細構造の維持

通常の焼結に比べて粒成長が抑制されるため、微細な結晶粒径やナノ構造を保持したまま焼結でき、材料の機械的強度や機能特性を向上させる。

異種材料の接合が可能

高速で均一な加熱が可能なため、異なる材料を組み合わせた複合材料の接合や、異種材料の焼結が実現しやすく、複雑な機能を持つ製品を作りやすい。

省エネルギー

焼結時間が短く、加熱に要するエネルギーが少ないため、通常の焼結プロセスに比べて省エネルギーで効率的である。

メンバー

事務局メンバー

  • 職名氏名所属/Affiliation
  • 会長加藤 秀実東北大学金属材料研究所・教授
  • 事務局員栗田 大樹東北大学大学院環境科学研究科・准教授
  • 事務局員伊藤 佐江子東北大学金属材料研究所・事務職員